洋書、時々プログラミング

博士課程修了→メーカーという経路を辿っている人の日常

後輩も先輩も去っていくという話

50年以上続いている会社の社会人になって数年経っているのけれど、1年前後の先輩・同期・後輩がバタバタと辞めていく。1年に10%ずつ辞めていっているレベル。

確かに給料は安いけれど平均以上は貰えているし、財政基盤もそれなりに安定しているから敢えて辞める必要は無いと思う。それでも辞めていくのはやはり会社の20-30年後の将来が描けていないからなのかなと思う。将来のベクトルがそもそも会社に存在しないのだ。

最近の会社はよく直近の5年の計画を出してKPIと言って数字の目標を出す。そしてそこに向けていかに勝算が立っているのかを投資家に向けて話す。そして投資家は納得して株価が安定する。もちろん投資家に対して説明することも大事である。だがしかし、働いている会社員の目線に立って話していくというのも大事なのである。

転職やFIREをしないで定年まで働くと考えると若手は20-30年は会社にいることになる。そのような中で5年間の勝算も大事であるが、投資家と違って30年間働く若手に対しては、そのような長い年月を掛けて会社はどのような問題に取り組んでどのような嬉しいことを提供していくのかをしっかりと説明していく必要があるのだろう。おそらくその中で価値観の細かい違いなどもあると思うけれど、同じ方向を向く努力をして行く中で細かい違いを受け入れて前に進んでいくのだろう。

最近はVUCAという便利な言葉がある。色々なものが揺らぎやすいし変わりやすい時代ではあるけれど、だからといってそれを言い訳にして10年・20年先の未来について漠然としたものしか提示できない経営陣に対して不安を持ち、辞めていく人もいるような気がする。会社員だって阿呆ではないのである。経営陣に煙に巻かれている気分くらいは感じ取ることができてしまうのだ。

ふわっとした言葉でお茶を濁して、会社の向かうべき方向、出すべき製品の姿を責任持って出さないのは経営者として違和感を持つ、そしてそれを感じ取った賢い若手から辞めていくというのがうちの会社で若手が辞めていく理由なのかも知れない。明確に言葉にすると経営責任などが明確になってしまうが、それこそが経営者の醍醐味なのではないかなと思う。

じゃあ自分はどうするのか? おそらく経営陣はそういった明確な志向を持っているということを期待しながら話し合いなどで質問をどんどんして行くと思う。実はまだちょっとだけ期待を持っているのかもしれない。でもその期待が無くなったら。。。その時のために少しだけ準備を進めておこうと思う。