洋書、時々プログラミング

博士課程修了→メーカーという経路を辿っている人の日常

入社前にしておいた方が良いことへの答えの意味について

学生向けの会社説明会で先輩社員として呼ばれることが多くなった。その時によくある質問として「入社前にやっておいたほうが良いことってありますか?」がある。今までは「学生のときにしかできないことをやっておきな」と答えていたのだけれど答えている自分にもピンと来ていなかったことは分かっていたのでもうちょっと深堀したいなと思ってずっと考えていた。最近ようやく答えが見えてきたのでメモがてら残しておく

結論としては「損得かかわらずに自分の好きなことに夢中になって打ち込む経験をしてほしい」ということなんだと思う。この経験は仕事を完成させるという意味において大きな意味を持つ。新しいプロジェクトに関わるとその新しさについていけずに周囲からは応援されず、むしろ反対されることが多い。その時にプロジェクトを続ける原動力の一つとなるのは、そういった反対の声に耳を傾けず、自分が良いと思ったことに対して夢中になることなんだと思う。こういった狂気じみた精神が無ければ新しい良いものはなかなか生まれない。

社会人になってから年を取るにつれて家族や自分の立場など守るべきものが増える。その時にこの夢中になる経験をできていないと守りに入ってしまいがちになると思う。夢中になることについて初めての経験として怖がってしまうからだ。もちろんそれが良い方に働くこともあるけれど、新しいことをできない人間は錆びていってしまう。

ここで見方を変えて新人を夢中にさせ続ける環境を作るのは誰の仕事なのかについても考えようと思う。これは上司の仕事だと考える。自分で環境を作ることは大事だけれど、プロジェクトを先導している上司こそ、その意義と完遂した先の世界を後輩に語ることで同じ目標に夢中になって邁進させる責任があるのではないかと思う。

夢中になってプロジェクトに取り組むことができるとそこには絶対に成功させるという執念が生まれる。この執念こそがプロジェクトの成功に必要な最後の鍵だとも思う。はじめから計算され尽くして決められたレールの上だけを進むプロジェクトなんてなかなか無い。ある時には順調だけれども、ある時には中止寸前まで追い込まれるような波のあるプロジェクトの方が普通である。順調な時は誰がやっても良い。大事なのは中止寸前の時に諦めないで執念を持って取り組み、土俵際でとどまり続けて追い風を待つことにある。この土壇場での粘りは執念、夢中からしか生まれない。

こう考えると冒頭の「学生の時にしかできないこと」の一つの答えは「夢中になり、周年を持って目標を追い求めた経験」とも言えるのでは無いだろうか。ゲームでもなんでも良い、目の色を変えて一心不乱に取り組んだ経験のある後輩が来年度入ってきてくれることを楽しみにしたい。