洋書、時々プログラミング

博士課程修了→メーカーという経路を辿っている人の日常

未経験でAI開発に社内転職を果たした記録

3行で言うと

  • 日本の伝統的な大企業で数年技術者として働いたのちに未経験のAI技術を主業務として行うようになって1年が過ぎたのでその記録
  • AI技術者やデータサイエンティストを伝統的な大企業で目指すには「布石」と「裏付け」をした上でめぐり合わせが必要
  • AI業務の主担当になることは決してゴールではない。その先の技術習得と人生の豊かさがゴール。

はじめに

タイトルの通りで日本の某大企業(メーカー系)に非IT系の技術者として数年働いていたのだけれど、昨年ごろから社内転職のような形でAI開発の業務が本務となっている。転職してAIをやるようになったとかそういう話はよく求人で見かけていたのだけれどこういった話はなかなか出てこないので参考になるかもと思い記録に残しておくこととした。実際は半年くらい前から書こう書こうと思っていたのだけれど、なかなか筆が進まずにようやく書けた。。。

どういう流れでAIが主業務となったのか

大学院を修了した後に就職した際、長期の技術開発を行う部署に配属されていたのだけれどその前に大企業特有の社内研修として色々な部署を回っていた。 研修ということもあり結構暇もあったので趣味としてAtCoderでコンテストに毎週のように出て緑コーダーまで到達することができていた。研修にも終わりが見え始めていた時に配属されていた部署のトップが希望を聞いてくれ、その時に「今後の発展を考えるとIT系に興味があり趣味でもやっている」と実際の例を交えて紹介したら結構刺さったようで、技術開発の部署に話を聞いてくれて配属がAI技術をやるようになった。

配属されてからどうだったの

秘密なこともあるけれど結構大変だった。AtcoderPythonには触れていたけれど機械学習で求められるコードを書くには数学的にもコーディング能力的にも不足があったし、何よりもUbuntuに振れる経験が不足していた。そのことを配属先の上役も理解していたらしく、機械学習では理論からしっかりと学ぶ機会を与えてくれたし、Ubuntuについてもじっくりと触れさせてくれた。英語のドキュメントを読むのにはまだ苦労している所もあるけれどDeepLとかをうまく使いながら業務で成果を出せるようになるまでなんとか成長することができた。今でもDockerやAnsibleとは何ぞやとか考えながら毎日手を動かしてコードを書いている。

配属されてよかったこと

  • Ubuntuの操作など全く知らなかったことを知るということは本当に楽しい。実際AIに限らず様々なツールが出てきているのでその技術に追いつこうとしているのは会社の技術者として望んでいたことでもあるのでとても充実している。
  • 50歳位のリーダーはあまりAI技術について理解していないから、こっちが「必要なんです!」とそれっぽく言えば買ってくれる。
  • 性格もあるけれどPCに向かっているのが楽しいから仕事 is 趣味という感じでプログラミングに打ち込めている。
  • クビや減給のリスクがほとんど無いから安心して失敗できる。

ちょっと微妙だなと思う事

  • 日本の大企業特有の決定が遅い等に巻き込まれた時はストレスフル。説明しなきゃならんことが多い
  • 会議が多い。1日に2個会議が入った時にその隙間時間でプログラミングする切替能力を身につけないと仕事が進まない時がある。
  • 社内に専門家がいないから、自分の能力が頭打ちになっていても気が付かない恐れがある。論文などを読むなどして時代の流れに追いつくことはできるけれど、やっぱり社内で技術談義がしたい。

終わりにとこれからのこと

こういった社内転職は自分だけの話ではあったけど、希望を聞かれた時に実績という裏付けを含めて希望を出せたことは一つ成功体験として残すことができた。実際あそこでただ興味があるとだけ答えてたら口だけと思われて希望が通らなかった可能性もあると思う。だからこれから同じような境遇でAI技術者やデータサイエンティストを目指す人は裏付けを一つでも取ることを目指すことが重要なのではないかと思う 一方で趣味でやっていることを踏まえて希望を出すと趣味と仕事の境界があいまいになってしまうという辛さもある。それでも続けられるのであれば良いけれど、趣味を純粋に楽しめなくなってしまうという可能性もあることに留意すべき。自分の場合はPythonは仕事、趣味をJavaのように言語を分けることで何となく対応できた。ただあまりにも能力の搾取をされているように感じるのであれば、転職なども視野に入れるべきなのかなとも考えている。実際そう考えて動いたこともあったけどその話はまた今度。 これからも当分はAI技術者としての仕事は続くと思うけれど、やっぱりプログラミングやPCに向き合う事が好きなことは自覚できたので、今後も学び続けて社内の中でそういった仕事をやり続けられたらと考えている。これからAIやITに精通した若い技術者が入ってきたとき一緒に切磋琢磨できるように自分の技術は伸ばしておこうと思う。