洋書、時々プログラミング

博士課程修了→メーカーという経路を辿っている人の日常

(読書)プロパガンダゲーム

なにかのタイミングでこの電子書籍を購入したので、気楽な気分で読もうとしたら、そうそう気楽にも読めなかった。

【あらすじ】

大手広告代理店「電央堂」の最終面接。そこで行われたのは宣伝によって仮想国家が戦争に向かうことを阻止、あるいは導くゲームだった。集まった8人は4人ずつのチームに分かれて、それぞれの勝利に向かって情報を駆使していくことになる。。。

 

【感想】

設定は面白かったし、宣伝という民衆の説得に関して、参考になる言葉が出てきた。

例えば、

そういう「だめな人間」も国民なんだ

という言葉は結構考えさせられた。

今もSNSとかにある、ワクチンとかの問題を考えると、ワクチン肯定派は反対派を、統計などを分かっていない「だめな人間」だと考えている。逆の立場から見れば反対派は賛成派のことを、真実を分かっていない「だめな人間」だと考えている。どちらがただしいかは今回の議論から外れるので触れないが、そういった「だめな人間」のように見える人をいかに説得すべきか、ということも考えていくべきなのだろう。会社でも同じだ。古い考えの人をただ「だめな人間」として放置せずに、いかに説得すべきか考えるのも、新しい考えをやろうとする人の責任なのかもしれない。

一人で正しさだけを追い求めることと、みんなが正しくある世界を追い求めることは全く違う。そういうことを改めて考えさせられた。

 

他にも物語終盤で出てきたセリフの中で、

正解をおかしいと思うのなら、システムを変える努力をすることです。嘆くだけでは現実は変わりません

というのも当たり前な言葉だけれども、ここで読めてよかったとも思う。生きていると理不尽なこともある。諦めざるを得ないこともある。その中でも、本当に何もできないのか、今一度立ち止まって考えて、足掻く時の原動力にしたいと思う。

 

後は生き方の話として、

「短所を見つけて言葉にするのは、長所を言語化するより、ずっと簡単なんだと思う。」

は大事だなぁと。プロパガンダゲーム中だけではなく、今のTV番組を見ていても、取材相手の人格を否定したり、貶めたりするものが多いように感じる最近、それでも良い所を見ようとする姿勢はちょっと大事だなぁと。もちろん悪いことは悪いこととして裁かなきゃいけないけれど、それでその人がもともと持っていた良いものまで消える訳ではない。そういう所をゼロサムゲームで考えないということも大事なのかなぁと。

 

全体的にはさらっと読めたけど、今後生きてく上で、参考になる言葉がいくつか拾えた本なので満足しています。

 

追記

こういう読み方も良いけれど、もう少し登場人物の感情とかを考えた感想とかも書きたいなぁと思ったり思わなかったり。