洋書、時々プログラミング

博士課程修了→メーカーという経路を辿っている人の日常

鴻上尚史のレッスン本その3 コミュニケイションのレッスン

ようやっと3つ目に入りました。

 

この本はそのタイトル通り、聞く、話す、交渉するという3つのことに関して日本の独自性を踏まえて、具体的な行動を指南している本です。

ここでも日本の特徴として「社会」と「世間」が顔をだす。世間の方は日本人は会社とかでよく知っているけれど、社会との付き合い方は得意ではない。

そんな中で、日本人がよく知っているコミュニケイションは、親から受け継がれた世間でのコミュニケイションで、社会でのコミュニケイションを学ぶ機会が無い。だから苦手意識を持ちやすくなる。そんな日本人が失敗しがちなのは、「分かりあえないことを前提にしない」ということである。

「分かり合えないのが普通の状態である」と認識するところから、社会のコミュニケイションは始まる。この前提に立って、根気強くコミュニケイションしていく。

まずは聞くことから。誰もが自分を語りたい欲を持っているので、それを聞くことからコミュニケイションが始まる。大事なのは、相手の話をちゃんと聞くこと。聞いている最中に他に視線を移したりとかしないで、相手の話を集中して聞くだけでいい。丹田を相手に向けてリラックスし、適度な距離を保ち、ここぞという所で微笑む。そして相手と呼吸を合わせて共感し、適度に相槌をうちつつ質問する。別に沈黙してもいい。

話す時は相手が社会か世間かどっちに属するのかをまず考えておく。わからない場合は社会verで話そう。社会の会話では明瞭な情報交換が会話の主目的であるので、はっきりと明瞭に、わかりやすく話す。世間の場合は会話をしながら、感情も交換する。

話し方に関しても練習大事。相手の様子を見ながら話し方は適宜変えていく必要もある。このときもリラックスを忘れないように。「うまくやろう」と思うより、話す内容に集中して語る。話す内容については基本的にネガティブなものは避けるべし。相手もしんどくなってしまうからね。

このように話すと、相手と自分の立場の違いが明確になる。そのうえで、どこまで歩み寄れるかという交渉が始まる。

交渉するためには、「語りたい想い」とそれを「伝える技術」がセットになってはじめて相手に伝わる。どちらが欠けても相手に正確に情報が伝わらずに、交渉が始まらない。このように交渉していると、険悪になることもあるけれど、そういうときほど素直に聞くことが大事。説得に関しては100%確実な方法は無く、相手によって伝え方を変えてみるなどあれこれ試すことが大事。win-winで終わるのが理想だけど、No dealという終わり方もあることを頭においておくと良い。

このような交渉の時は自分の武器について考えることも重要。伝える技術として、自分が得意としている武器はなんなのか?客観的に振り返るとなにかあるはず。

 

こういうことをじっくりとやっていくことで、いつか結果が出るはず。

 

鴻上尚史のレッスン本その2 幸福のレッスン

次の本は幸福のレッスン

 

「自分は何を幸せと感じるか」という質問の答えを見つけることは、幸せに生きるための条件である。誰に何を言われても揺るがない答えを見つけるにはどうすれば良いのかという方法を書いた本。

 自分にとっての幸福を見つけ出すことはとてもむずかしい。でもいくつかのやり方がある。まず自分の心と向き合うことである。情報に溢れている今では静かに自分の心と向き合うことは難しい。なので、一人旅にでも出て、テレビも何も見ず、ぼーっとし続けることがおすすめされている。このような状態で、言葉にならなかった想いが言葉になってふっと出てくるようになる。

 「自分が何をしたいか」わからない状態は不安である。だけどその状態は逆に、色々な物を吸収できるのだから、楽しまなければ損である。この時は信用できる先輩の話に関しては考えずに判断を保留して従ってみるのも良い。乾いたタオルのように色々なものを吸収していくべし。若い時はイメージを守るために必死になってしまうけど、そんなものを守って何になる?失敗して強くなろう。「心に怪物を飼え。決して安定するな。」

 その中で「なりたい自分」が見えてきたら「今の自分」と比較してみよう。きっと足りない所があるはずだ。そのギャップを埋めるにはどうしたら良いかを考えて、努力してみよう。0か100かを目指さないように。30点でも一歩前に進めれば良いんだから。そのために、ただただ、努力することをしてみよう。

 色々なことをやっていると辛い時もあるかもしれない。だけれども、ユーモアを忘れないようにしよう。「どうにもならないこと」を悩むよりも「どうにかなること」を考えて、ポジティブに楽しみながら前に進む方が良い。「もうダメだ」を「大丈夫」と言い換えながら進んでみよう。「もうだめだ」というのは自分の思い込みかもしれないよ?そう思い込んでいる理由をメタ的に振り返ると良い。不安なんかに押しつぶされないように、物事を多面的に見てみよう。

 

という感じの本でした。

<感想>

言っていることの一つ一つは今まで自分が読んできた本の中でちらほら出ていることもある。「心に怪物を飼え。決して安定するな。」とかは「衝動で動け」というアオアシに似たものを感じるし、ただただ努力するというのは研究室の先輩方がそうだった。

でも、この本の価値はそれを改めてまとめて、別の観点から説明している所にあると思う。そのおかげで自分にとって幸せになる方法を改めて考え直すことができるからだ。こうすることで、幸せになる方法をとらえなおし、意識して使うことがやりやすくなる。

 

「揺るがないなにか」というのはG戦場ヘヴンズドアにも出てきた。自分もここに書いてあることを意識しつつ日々をユーモアたっぷりに生きていきたいとは思う。

 

 

 

 

鴻上尚史のレッスン本その1 孤独と不安のレッスン

ピルグリムを見てから鴻上尚史熱が来ていたので、一気に「コミュニケイションのレッスン」、「幸福のレッスン」、「孤独と不安のレッスン」の三冊を読み終えたので一つずつ書いていく。

まず孤独と不安のレッスンから読んだ。

【抜粋した内容】

孤独には種類がある。「一人はみじめ」と苦しむことはニセモノの孤独であるとして、「本当の孤独」とは

会話する相手が自分しかいなくなること

である。

この「本当の孤独」は、自分とちゃんと対話できる機会を生み出すので、みじめでもなんでもない。むしろ豊かな時間である。このような機会の中でようやく自分の本心を捉えることができる。ニセモノの孤独はこの「本当の孤独」を邪魔する。なぜならば、「一人はみじめ」という考えは思い込みであることを意識して、SNSなどでつながりをも求めてしまうからだ。

不安に対しても、絶対の保証があるわけが無いのだから、人間は生きているだけで不安になってしまう。ただ不安にも種類がある。「前向きの不安」と「後ろ向きの不安」だ。前者は前に進むエネルギーをくれるが、後者は立ち止まってしまうだけでマイナスのものしかもたらさない。絶対の保証なんて何も無いのだから、不安を感じて、それを「やってみなきゃわからん!」として前に進むように不安を使うのが良い。自分の中で不安を大きくしてはいけない。

「本当の孤独」は新たなネットワークと人間関係をくれる。その中で「他人」とは異なる「他者」と出会う。この他者との関係はまたやっかいで面白い。なぜなら好きと嫌いが混じり合った関係だからだ。他人ならすっぱり切れるけど他者は切れないということである。この他者との付き合うためには、コミュニケーションを諦めないエネルギーが大事である。やればやるほど、他者との付き合い方は慣れる。この中で不安とも闘うことになるけど、後ろ向きの不安には振り回されないことが重要。

人間なんてわかりあえないのが当たり前である。「何も言わなくてもわかってもらえる」なんて無い。それはただの依存である。わかりあえないけど、奇跡的に分かり合えることもある。だから分かり合う瞬間を目指すことでエネルギーを保つことが良い

 

【感想】

会社で生きるということは孤独には生きられない。だけれども、昼食を一人で取るのは恥ずかしいことなど、ニセモノの孤独を感じてしまうところがいくつかあった。まずやるべきことはこの本にも書いてある通りで、ニセモノの孤独を意識して今のネットワークから一度離れて、意図的に本当の孤独の中に身を置き、改めてネットワークを作り直していきたい。

他者との付き合い方は自分は未熟だと思うのでなんとかしたい。

 

 

こういう感じで本を紹介していけたら良いなぁ